茂林寺・ぶんぶく茶釜・夜中に手が出る足が出る?出世・商売繫盛・夫婦円満の御利益

実生と神社

こんにちは!実生です。
この記事では民話で知られる「ぶんぶくちゃがま」のお寺である【茂林寺】をご紹介いたします。

祈りの沼と青龍山茂林寺

祈りの沼

【茂林寺】の鎮座する群馬県館林市には、古くから多くの沼が存在しています。

沼は、人々の暮らしとともに歩んできた場所。
その水辺は、時に恵みを与え、時に祈りを受けとめながら、
館林市の文化や風土を育んできました。

現在では、こうした沼と人の営みが評価され、
「里沼(さとのま)」として日本遺産にも認定されています。

館林市を代表する三つの里沼が、こちら──

・祈りの沼 茂林寺沼
・実りの沼 多々良沼
・守りの沼 城沼

この「祈りの沼」と呼ばれる茂林寺沼のほとりに、
今からおよそ600年前、応永33年(1426年)に開かれたのが、曹洞宗の古刹【青龍山茂林寺】です。

開山されたのは、大林正通(おおばやし まさみち)大和尚。
以来、土地の祈りを受けとめながら、静かに時を重ねてきたお寺です。

青龍山茂林寺 基本情報・アクセス

所在地群馬県館林市堀工町1570
電話番号0276(76)1514
公式サイト
創建・創建者1426年応永33年 大林正通大和尚
山号・宗派青龍山・曹洞宗
御本尊釈迦牟尼仏
館林名所七所大黒尊天(だいこくそんてん)
宝物拝観時間・料金午前9時~午後4時 大人300円子供150円
アクセス・電車東武伊勢崎線・茂林寺駅から徒歩7分
アクセス・乗用車館林I.CからR354で3.5㎞

ぶんぶくちゃがま

山門1

総門(通称黒門)

境内案内図

こちらの画像の左側に写っているのは、「ぶんぶくちゃがま絵本案内板⑬」。
どうやら、この絵本案内板は全部で①から⑬まであり、ここ【茂林寺】が最終話となっているようです。

ですが──
いきなり最終話だけを見ても、お話のいきさつは分かりません。
その前の12ヶ所を巡ってこそ、「ぶんぶくちゃがま」の物語が立体的に見えてくる仕組みなのです。

「ぶんぶくちゃがま」には地域や時代によってさまざまなバージョンが存在しますが、
その中でも共通して語られている要素が三つあります。

・茶釜に化けたが、元に戻れなくなってしまったこと
・芸をして、お金を稼がせてあげたこと
・最終的に、お寺に預けられたこと

どのお話にも、けなげであたたかい狸の姿が描かれていて、
読むたびに、胸の奥がじんわりしてきます。

 ぶんぶく茶釜の話(ちょっとだけ)

ぶんぶく茶釜タイトル


狸の参道

参道

参道には21体の狸像が向かい合わせに並んでいます。
よく見ると、ほとんどの狸たちが斜め上を見上げていました。
その姿が、どこか物語のワンシーンのようでした。

右狸

狸には、「他を抜く(たぬき)」という語呂から、
出世運や商売繁盛、金運・福徳のご利益があるとされています。

でも、狸の魅力はそれだけではありません。

実は、狸は一夫一婦制で、仔が成長するまで家族で生活すると言われています。
特に雄はとても子育て熱心で、毎日せっせと餌を運んできては、家族を守る存在なのだとか。

その姿から、夫婦円満や家庭和合のご利益もあるとされているのです。

茶釜に化けて芸をしたあの狸も、
もしかしたら、誰かのために一生懸命だったのかもしれませんね。

山門2

山門(さんもん)は、世俗の世界と仏道の世界の境にある門です。

こちらの建物は、かつての札所だったのでしょうか。

今はもう、特に使われている様子もありませんが──
風景に静かに溶け込んでいて、何だかこのままでいいような気がしました。

役目を終えた建物が、ただそこにある。
それもまた、ひとつの“祈りのかたち”なのかもしれません。

拝殿

こちらは【守鶴堂】。

茂林寺の鎮守菩薩として、守鶴和尚(しゅかくおしょう)がこの御堂にお祀りされています。

創建者である大林正通(おおばやし まさみち)和尚とともに、
分福茶釜の伝説とも深いつながりを持つ、ゆかりの深い和尚さまです。

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拝殿

こちらが茂林寺の本堂。

茅葺の屋根に、静かに刻まれた時の流れ。
近づくだけで、歴史の息づかいが感じられます。

……なんだか、夜中に茶釜がトコトコ歩いていても、
まったく不思議じゃないような──
そんな空気が、この場所には漂っているのです。

わたしたちの宗旨

こちらには、曹洞宗(禅宗)の宗旨が丁寧に書かれていました。

時代がどれだけ移り変わっても、
江戸の昔から、きっとこの教えが、
人々の心の支えになってきたのでしょう。

今も変わらず、
ここに静かに息づいています。

ふと柱を見上げると、千社札(せんじゃふだ)がいくつか貼られていました。

千社札とは、寺社仏閣を参拝した証として貼るお札のことで、
自身の名前や家紋などが記されているのが特徴です。
歌舞伎や相撲の世界でもよく見かける、あの縁起のよい札ですね。

かつては、この札がたくさん貼られているお堂ほど人気があるとされ、
まるで人々の祈りの“名残”がそこに重なっていくようでした。

今では、あまり貼られることもなくなったそうですが──
時おり残された札に出会うと、
その時代の空気が、ふっとよみがえってくるような気がします。

たぬきと御朱印

茂林寺の狸像たちを、改めてじっくり見てみました。

よく見ると、それぞれのタヌキさんが持っている物がちょっとずつ違うんです。

「通」と書かれた巻物のようなもの、徳利(とっくり)、木魚のバチ、数珠、そして笠──
どれも何か意味が込められているようで、見ているうちに物語が浮かんできそうでした。

それぞれの台座には詩のようなものも刻まれていますが……
ちょっと難しくて、私にはまだ読み解けませんでした。

参道沿いのお土産屋さん、かつてはきっとにぎやかだったのでしょう。

でもこの日は、ほとんどのお店がシャッターを下ろしたまま。
観光客の姿もまばらで、静かな時間が流れていました。

そんな中、一軒だけ開いていたお店で目にとまったのが、
ころんとした可愛い灰皿のような陶器。

お店の方いわく、「ひとつ、連れて帰ってください。」とのことだったので、
思わずひとつ、お迎えしてしまいました。

このサイズで……2,500円。
ちょっぴり高いかな? でも、出会いってそういうものですよね。

茂林寺入口付近

飲食店

【青龍山 茂林寺】
──そこは、昔話と祈りがやさしく混ざりあう、不思議な空間でした。

参道に並ぶ21体の狸たちは、どこか空を見上げて、
何かを伝えようとしているようで。
その目線の先に、静かにたたずむ本堂。
もし夜中に茶釜が歩いていたとしても、きっと驚かない……
そんな空気が漂っていました。

分福茶釜の伝説をたどる「絵本案内板」は⑬がここ茂林寺。
でも、本当の“はじまり”はきっと、それぞれの想像の中にあります。
物語を信じる心があるかぎり、どこからでも茶釜は歩き出すのです。

今は少し観光客も減って、お店も静かなまま。
でも、そんな中で出会ったひとつの陶器に、そっと蚊取り線香をくゆらせたとき──
狸さんたちが、くすっと笑った気がしました。

茂林寺は、ただの昔話の舞台ではありません。
祈りとユーモア、日々を見つめるまなざしが、そっと息づいている場所です。

ふと立ち止まったときに、また訪れたくなる。
そんなお寺でした。

つつじの館林七福神めぐり

七福神めぐりアイキャッチ画像

館林市では、毎年新年に「七福神めぐり」という楽しい寺社巡りのイベントが行われています。

専用の色紙に各寺社でスタンプを集めていく形式で、
七か所すべてを巡ると、一年の御利益がいただけるとされています。

ここ【茂林寺】では、七福神の中の「大黒尊天(だいこくそんてん)」がお祀りされています。
にこやかな福の神さまが、そっと見守ってくださっているような、あたたかな雰囲気が印象的でした。

この七福神めぐりは、毎年1月3日から31日までの期間中に行われます(※変更の可能性あり)。
順番や日付に決まりはないので、お好きなタイミングで、気の向くままに巡ることができます。

神社や歴史が好きな方、静かな冬の散策が好きな方──
新年のご挨拶がてら、七つの“しあわせ”をめぐってみてはいかがでしょうか♡

七福神めぐり

茂林寺は、静かで自然豊かな場所に、江戸時代からずっと佇んでいます。
現代に生きる私たちの“お疲れ”を、そっと癒してくれるような──
そんな、やさしさに満ちたお寺です。

ただ、真夏の館林市は“猛暑の街”としても知られていますので、
ご参拝の際は、春や秋など、やわらかい陽射しの季節をおすすめします。

茂林寺沼のほとりを散策しながら、ゆっくりとお参りする時間。
それは、日々の慌ただしさの中にある、とても大切な“静けさ”かもしれません。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。

あなた様の御出世、商売繁盛、家庭円満──
たくさんのご利益がありますよう、心よりお祈り申し上げます。

そしてもし、道ばたに茶釜が落ちていたら──
どうか、何も言わず、そっと拾ってあげてくださいね。

☆☆ おしまいです ☆☆
実生mio

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