とくさのかんだから御守りと物部神社 ─ 魂をゆらす古代の祈り

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先日、「とくさのかんだから」という名前の御守りをいただきました。
御守りの模様は、どこか古代文字のようで、不思議な雰囲気。
「これは何だろう?」と気になって調べてみたら、そこには魂を清め、蘇らせるという古代の祈りが隠れていました。

 物部神社について
島根県大田市に鎮座する物部神社(もののべじんじゃ)は、古代に武器製造や鎮魂の祭祀を司った物部氏ゆかりの古社です。
御祭神は物部氏の祖神宇摩志麻治命(うましまじのみこと)
今も鎮魂の祈りと、十種神宝(とくさのかんだから)の伝承が息づく、厳かな雰囲気の神社です。

とくさのかんだからって?

これは十種神宝(とくさのかんだから)のこと。
天から授かったとされる十種類の宝で、魂を鎮め、国や人を守る力を象徴しています。
御守りは物部神社でいただけます。

十種神宝(沖津鏡・辺津鏡など)とは何か

沖津鏡(おきつかがみ)や辺津鏡(へつかがみ)、八握剣(やつかのつるぎ)など、
十種神宝は古代の人々が大切にした宝物の名前です。
鏡は太陽や月の光を象徴し、世界を映す神聖な道具。
剣は邪を祓い、道を切り開く象徴。
生玉・死返玉・足玉・道返玉は生命力や魂の蘇りを表し、蛇比礼・蜂比礼・品々物之比礼という布は、災いを祓うために使われた清浄の象徴でした。

これらは単なる物質的な宝物ではなく、魂を守り、自然や神への感謝を表す象徴
古代の人々がそれを大切にし、祈りを込めた気持ちが、今も御守りという形で私たちに届いているのです。

ちょっと怖かった祝詞

この神宝とともに唱えられるのが十種祓詞(とくさのはらえのことば)

ひと ふた み よ いつ む ゆ なな や ここのたり
ふるべ ゆらゆらと ふるべ

正直、最初に知った時は少し怖かったんです。
陰陽師が印を結び、呪文のように唱えるシーンを思い出してしまって。
「悪い霊を一気に払う!」そんなイメージでした。

でも調べてみると、これは呪文ではなく祓い詞
悪いものを倒す攻撃ではなく、魂を落ち着かせ、清めるための祈りだったのです。
意味を知った瞬間、同じ音がやさしく聞こえたのが不思議でした。

沖津宮とのつながり

この「魂を守る祈り」は、福岡・宗像大社の沖津宮(おきつみや)の祈りにも重なります。
沖津宮は玄界灘の沖ノ島に祀られる田心姫神(宗像三女神の一柱)を祭り、古代から航海者の安全を祈願してきた神聖な場所です。

物部氏が鎮魂や国家の安全を担い、宗像氏が海の道と人々の命を守ってきたように、
大地と海、鎮魂と航海守護──それぞれの祈りが国と魂を支えていたのかもしれません。

御守りを持つ意味

御守りを手にして、私はふと思いました。
「意味を知っていると、その祈りが潜在意識に届くのかもしれない」と。
もちろんこれは私自身の感じ方です。
でも意味を知ったことで、ただの模様に見えた御守りが魂を守る符号に見えて、
「いつか、物部神社にお参りできますように…」
そう思い、そっと手の中で願いを込めました。

まとめ

小さな御守りに込められた、千年以上の祈り。
しかも十種神宝は、鏡・剣・玉・布といった自然の素材から作られています。
鉱石や石、麻など自然の恵みをそのまま活かした宝は、
古代の人々にとって自然の力を宿す象徴でもありました。

意味を知ると、御守りを手にする感覚はまるで違います。
ただの模様だったデザインが、今では「魂をゆらす古代の祈り」に見えています。