
三嶋大社|美しい御神事に遭遇した秋の日
11月の三嶋大社。
境内は七五三のお祝いで訪れた、色とりどりの着物を着た子どもたちであふれ、
その姿がまるで小さな宝石のように輝いている日でした。
風ひとつなく、
やわらかな光だけが境内に降り注ぎ、
空気そのものが穏やかに満ちている、そんな良き日。
そんな中、御本殿の前には
「遷座」と書かれた立て看板がそっと置かれていて、
七五三の御祈祷とは別に、
特別な御神事が行われる気配が漂っていました。
詳しいことはわからない。
けれど、何か大切な儀式が静かに始まろうとしている——
そんな空気だけは、はっきりと感じられました。
お参りを済ませ、境内を歩いていると、
白装束の神官が六人、そして巫女さんが二人。
一列に並び、本殿から神池に浮かぶ厳島社へと向かわれていきます。

そのお姿が、言葉にならないほど美しかった。
澄んだ光を受けて、白い衣がきらきらと輝き、
その周りの空気まで清められていくような感覚。
私たち参拝者も、ふっと肩の力が抜けて、
心が洗われていくようでした。
厳島社で手を合わせる神官さんたちの背中は、
凛としていて、優しくて、
神様に向き合う姿勢というものを改めて教えてくれるようでした。

その後、宝物館へ。
大人500円で拝観できるのですが、
“宝物館”の名にふさわしい品々が並んでいて、
時間を忘れて見入ってしまいました。
中でも印象に残ったのは、
北条政子が使っていたと伝わる化粧箱のレプリカ。
国宝「梅蒔絵手箱」の美しさに息をのみました。
きっと、口紅やお歯黒、白粉、お香、
そして大切な装飾品たちを入れていたのでしょう。
女の人は昔も今も、
こういう「入れ物」が大好きなんだなぁと、
思わず微笑んでしまいました。
他にも、源頼朝の般若心経、
足利尊氏の筆跡、
古い古い書物の展示…
ひとつひとつがこの三嶋大社の歴史の深さを物語っていました。
光の降る境内、七五三の笑顔、
そして静かに行われる御神事。
三嶋大社は今日も、
千年以上続く美しさをそっと見せてくれていました。


